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2013年7月23日 (火)

高校野球を観に行く (2) 夏の終わり

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夏の終わり。

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1対3

2点差を追いかける8回表

ノーアウト満塁のチャンス到来!

相手ピッチャー、ビビってる!

誰がどう見たって、チャンスなのです。

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みなさんに伝わるかなあ?このときの、空気感。

ノーアウト満塁。誰がどう見たって、チャンスなんだけど、

打席に立つきみも、ビビっちゃってる。

あと8,9回の攻撃だけ。

われわれに「夏の終わり」は確実に忍び寄っているが、

けれども、今は、誰がどう見たって、チャンスがきてる

ここをどうするかは、打席に立つ、きみ次第だよ、

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こういうの、よく、野球にあるんだよね。

苦しさに耐えたものに、チャンスは必ず訪れる。

でも、そのあとは、私、知りません。っていう、野球の神様。

ここをどうするかは、打席に立つ、きみ次第だよ。

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2点差を追う8回表。ノーアウト満塁。

打席に立つきみや、ベンチの監督には、いろんな選択肢が考えられた。

ビビってる相手ピッチャーは、なんとか自分の「間」にしていこうと、マウンド上であれこれやっているし、

代走の2塁ランナーは、靴ひもがほどけた、とか言ってタイムを要求したり、

ピリピリ過ぎる状況に、みんながアップアップしてる。

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そして、

相手ピッチャーが初球、ど真ん中に球威のないストレートを投げ込む。

ストライク! それを見送る、打席に立つ、きみ。

バックネット裏の私は「では、きみは何を待っているのだ?」と、ひざを叩き、激しく悶絶!

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そのとき、バックネット裏、口汚いオールド高校野球ファンが高らかに叫んだ。

「おい、大振りしろ!大振りして行け!」

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私は感動した。

普段は、さわやか精神から程遠い、オールド高校野球ファンが、

ここ一番で、最も、さわやかじゃないか!

そして、それは力強く、シンプル、的確なアドバイス。

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大振りすること。

それが最善の選択である。私もそうおもう。

そうするしかないんじゃないか、とおもった。

きみも、味方も、相手も、何千人の客も、私も、みんな、極限状態にビビってる。

そんななか、か弱いきみが出来ることなんて、たかが知れてる。

小細工なんか、状況に飲み込まれるだけだ。

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このチャンスにきみがすることは、

相手ピッチャーがまだビビってるうちに、ストレートだけに狙いをしぼって、

来た球を、ばかみたいに思いきり振り抜くことだ。

そうしたら、きみはヒーローになれる。

スタンドの女の子たちから夏休み明け新学期に告白されたりするだろう。

まだ間に合う。次のストレートで、大振りすることだ。

たとえ、空振りでも、そこから発生する空気の波動、インパクトが違う。

そういうのは、伝わる。

味方には勇気に。相手には脅威として。

いま、きみに必要なのは、ばかみたいに大振りすること、だ。

勇気を持って、大振りをするのだ_!

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きみは、次のストレートも「ぼんやりと」見送り。

そのあと、変化球に力のないスイングして三振した。

つづくバッターは、ボテボテの内野ゴロ、ダブルプレー。

ノーアウト満塁に、なにもできなかった。なにもしなかった。

なにをしたいのか、わからなかった。

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チャンスは二度は起こらない。

9回表は、2点差をひっくり返す大逆転ドラマの空気感もなく、

ぼんやりと、3つのアウトをとられ、

そして、夏が終わった。

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チャンスが来たら、ばかみたいに大振りすること。

それしかない。

それが最善かどうか、根拠はいらない。

こいつはこういうことがしたいんだな、とはっきりとわかること。

(NB)

オールド高校野球ファンとは、

古豪野球部の過去の栄光を知る、真っ黒に日焼けした、野球通の、口汚い、愛すべきおじいちゃん連。

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