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2013年11月 2日 (土)

私は何故20キロを走ったのか

夜。

一周800メートルのコース、6周と少し、計5キロ走るつもりだった。

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2キロすぎたところで、私を勢いよく抜いていく男。

白いタオルをねじり鉢巻き、普段着のTシャツの袖をまくって、今時ランニングには「やぼったい格好」、

細身とは真逆、太めの「キャッチャー体型」、走るフォームもドタバタという感じ。

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そんなヤツに先をいかれるわけにはいかない。

残り3キロ走っていくうちに、へばったあいつを追い抜く。

そう思って、前方の男をにらみつつ、私は私のペースで、走り続ける。

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ところが、いつまでたっても、その男との距離が縮まらない。

むしろ、私が徐々にペースを上げなければ、男との距離が離れていっていることがわかってきた。

でも、まあ、あんな格好の男が、こんな速いペースで走り続けられるわけはない、

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男との距離が縮まらない。

予定の5キロを過ぎた。

あの男を追い抜くまでは、絶対に走りやめるものか、そう決めた。

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あんな軽装・走り方では、あの男はどうせ5キロ走ってやめてしまうはずだ、そう思っていたが、

私が7キロを走った時点で、(私から2キロあとに走り始めた)その男はまだまだ走るのをやめない。

それどころか、さらにスピードを上げていることがわかる。

いつまでたっても、その男との距離が縮まらない。

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私はもう、10キロを走ってしまっていた。

のど自慢の敗北ショックを機に、ふたたび定期的に走り始めた私だが、

5キロ走や30分間走はするも、まだ10キロは走らずにいた。

久しぶりの10キロ走になった。

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男は私の前方を走り続ける。

12キロを過ぎた時点で、男がどうやら10キロで走り終えるつもりがないらしいことが伝わってくる。

ペースが落ちない。フォームが崩れない。

私の中でだんだんと、おそれがうまれてくる。

「あいつは一体なにものだ」「あいつは何キロ走るつもりなのだ」

そんな疑問と共に、次第に、

「私は、とんでもないモンスターを相手にしてしまったのではないか」という微妙の後悔がはじまってきた。

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久しぶりの10キロ走で、私はひざや股関節が痛み出していた。

なにより、「あいつはすごいヤツなのかもしれない」という考えが、

追いつづける気力を、一気に削いでいった。

男との距離は広がる一方で、ついに、私の視界からいなくなった。

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15キロ過ぎ。

屈辱の周回遅れ。

タオルのねじり鉢巻きに、普段着のTシャツ、そんな格好の男が、

ドタバタとした走りで、私をあっという間に追い抜いていく。

「あいつはいつまで走るつもりなんだ…」

疲れ切った私、遠ざかる男の後ろ姿を目で追うばかり。

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あいつがどこまで走っても、この先、何周も周回遅れになっても、

あいつが走り終えるまでは、絶対に、私から走るのをやめないぞ、と決めた。

走り終えたその男を、走り続ける私が抜き去っていく。

そういうたたかいにもちこむ。

そこまでしても、負けを認めない。

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なぜ、こんなことをやっているのか。

おれはばかか。

こんなことをしたって、なんの得にもならない。

身体は、いま、過激に消耗している。

帰ってから、やることが山ほどあるのに、私はなにをやっているのだ。

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私の生き方の問題だ。とおもった。

のど自慢に負けて(NHKによるジャッジ)、

大森靖子に負けて(友人によるジャッジ)、

ランナーからは程遠い格好の男に負けて(周回遅れという現実)、

その上さらに、私自身に負けるのか、とおもった。

ていうか、私が私自身に負けたら、

私には、あと何が残るのか、と考えた。

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勝負をどんなかたちにでももちこむ。負けない。

「おまえはもう、負けてるよ。」と言われても、

おれは負けてない、としんじつづける。

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私は20キロを越え、2時間走りつづけた。

男はいつの間にか走り終え、コースからいなくなった。

いくら走っても、男が見つからない。

私は、私のたたかいに「負けなかった」とおもった。

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「三浦雄一郎みたいに、80歳になったら、きみもブレイクするかもね」

つまらない曲をつくると、

ベースTBが、そう言って、私をいじめる。(ハッパをかけてくれる)

負けないぞ。

(NB)

グリマーズ連のライブ

11月18日(月)

新代田FEVER

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