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2016年4月

2016年4月28日 (木)

ボブ・ディランのライブに行き、菅野ヘッケルさんとお話させていただく

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ボブ・ディランのライブに行ってきました。

(日本ツアー最終日。パシフィコ横浜)

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ライブ後、タバコを吸いに行ったエディ兄が、

「おい!いま、ヘッケルひとりでタバコ吸ってるぜ!

おまえ、はやく行ってきな、」と

興奮した声で、私に言ってきます。

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注:菅野ヘッケル氏

日本におけるボブ・ディラン研究の第一人者。

ディランCD、日本盤のライナーノーツには、必ず菅野ヘッケル氏の解説が入ります。

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なるほど、ガラス張りのタバコルームに、

私の敬愛する菅野ヘッケル氏が、ちょうどひとりで、おられる。

これは話しかける絶好のチャンスだ。

でも、よく似てる他人だったら、どうしよう。

そもそも、なんて話しかけたらいいんだろう。

緊張する、。

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勇気を出して、

タバコも吸わない私が、紫煙まみれるタバコルームの扉を開ける。

ヘッケル氏に近づいていき、話しかける。

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「毎回、ライブレポート、たのしみにしてました。

すごくよかったです。ありがとうございました。」

みたいなことを、敬愛するヘッケル氏に、私はおどおど言って、

ひととおり、お礼を述べた後、もっと話をしたくなって、

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「今夜、いいライブでしたね、」と私が言うと、

「うん、今夜、よかったね。

でも。今夜で終わりかとおもうと、さびしいよね…、」

とつぜん、ヘッケル氏がほんとうにさびしそうに語り出したので、

私はびっくりした。

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ヘッケル氏は、もはや目の前の私というよりも、

まるで、自分自身に向けて話しているかのようで、

なんだか私は、置いてきぼりにされている気がした。

でも、「あ、このコミュニケーション、おもしろい。」と私はおもった。

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ヘッケル氏は、ディランの日本ツアーが終わってしまって、いま、ほんとうにさびしい気持ちなのだ。

なんて、ありのままのヘッケル氏なんだろう。すてきだ。

私なんか気にせず、どんどんヘッケル氏の、いま、言いたいこと、溢れる思いを話してほしい。

コミュニケーションになってない。それでいい。突っ走れ!

なんか、私は感動した。

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(のぶ)

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ちなみに。

ヘッケル氏によるツアー最終日のライブレポートがこちらです。

http://www.sonymusic.co.jp/artist/BobDylan/info/467638

レポート後半、「forever young」と書かれたあとの追記で、私のことが書いてあります。

ウソです。(でも、ちょっとだけ、ほんと)

2016年4月24日 (日)

高校野球を観ながら、おじいちゃんと生きることについて話す

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古豪野球部(左)のうつくしいお辞儀。

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「おれが死ぬのが先か、

(古豪野球部が)甲子園行けるのが先か、

おれが、先だろうな~」

そう言って、おじいちゃんはわらう。

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高校野球 春季大会、県大会はじまる。

バックネット裏でたまたま隣り合わせたおじいちゃん。

古豪野球部に詳しい。でも口汚くヤジるようなことはしない、

穏健派のファンである、おじいちゃんの解説を聞きながら、

たのしい野球観戦。

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おじいちゃんといっしょになって、タイムリーの瞬間をよろこびあって、

古豪野球部のコールド勝ちの試合を観終えた後、

なんとなく、私たちは、そのまま

べつにどっちが勝ったってかまわない、次の試合も観ている。

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おじいちゃんが昨秋、がんの手術をしたこと

その後、完治に向けて、面倒な日々を過ごしていること

そんななかに、高校野球、古豪野球部があること

おじいちゃんが、そんなことを淡々と話すのを聞きながら、

べつにどっちが勝ったってかまわない、

東部の公立校と、南部の私立校の試合を観ている。

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外野スタンド奥に見える木々が、新緑でかがやく。

日差しが強くなってきて、半そでになっていた私の腕が日焼けして赤くなっていく。

爽やかな風が市民球場に吹いていて、

ちょうど気持ちよい4月の野球観戦。

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「マジで?、それ、つよいね~!」

私のうしろに座る女子高生同士のどうでもいい会話を聞いていると、

さっきから「つよい」ばっかり言っている。

どうやら、「すごい」「ヤバイ」という意味合いで

「つよい」が使われているらしい。

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女子高生の、どうでもいい会話のなかに、

すごい話など、ちっともないが、

まあ、そういうことは関係ないんだろうな。

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「甲子園には行ったことあるんですか?」

私はおじいちゃんに訊いてみる。

「いや、ないんだよ。

(40年くらい前に古豪野球部が)よく甲子園出てたときは、おれが仕事忙しかったから。

まあ、おれが死ぬのが先か、

(古豪野球部が)甲子園いくのが先か、

おれが先なんだろうな、」とおじいちゃんはわらう。

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古豪野球部の

平日の練習風景や、土日の練習試合などを、せっせと見に行くくせに、

高校野球の大舞台、甲子園には行ったこともない、

ひとりのファンの生涯。

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そういうものだ。ともいえるけれど、

そういうものなのか?、とも、おもう。

「甲子園、はるかなり。」と、なんか、おもう。

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「甲子園に行きたい」なんて目的地は、あるようで、もはや、ないようなもので、

私たちは、古豪野球部を追いかけながら、どこへ向かっているんだろう。

いま、目の前の、地区大会、県大会での試合

ひとつのアウト、一本のタイムリーヒット

そんな場面に立ち会うことに、ただよろこんだりしている。

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のらちゃんは死に、

おじいちゃんの生きていく時間は限られている。

この私にしたって、そうだ。

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この夏、甲子園に行こう。

県代表がどこになろうが、知ったことか!

マジで?、それ、つよいね~!

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(のぶ)

2016年4月16日 (土)

田崎真也ワインサロンで、ぬれた犬の毛の香りを知る

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神戸。三ノ宮。

薄暗い店内、一番奥のテーブル席についた私たち。

私が頼んだワインが運ばれてきて、

グラスをまわし、鼻を近づけ、ふわっと匂いをかぎ、一口。

田崎真也を意識して、優雅にワインを飲む、ソムリエサッサン。

いざやってから、遊びが冗談になってないことに気づき、地味に恥ずかしくなる。

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ところで。

「たさきしんや」の漢字表記を確かめるために、一応、検索をした。ら、

田崎真也ホームページに「ワインレッスン」みたいなものがある。

神戸で私はワインがおいしかった。けっこうおいしかったのだ。

「あ、きっかけだ。」ひらめきを感じ、

急遽、連絡して、ワインレッスンに参加することにしてみた。

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「天橋立ゴミ拾い、ひとりボランティア」のつぎは、

「田崎真也ワインレッスン」なんて…。

私はどこまで遊びで、どこまで本気なんだか、

自分でも、ますますわからなくなってきたぞ。

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東京。虎ノ門。

たかくそびえる、虎ノ門ヒルズを通り過ぎ、

愛宕山という、都心にこんもり盛り上がった、

新緑の山を、私は登っていく。

おしゃれな山の上に「田崎真也ワインサロン」はある。

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「気軽なワインレッスン」には、若い先生が担当し、

ワインとはなんぞや、をおしえてくれる。

久しぶりに、ものを教わる授業、がたのしい。

「おれ、こんなところで、なにやってんだろ、」

そうおもって、授業中、にやにやわらう、生徒サッサン。

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授業後半は、白2種、赤2種をテイスティング、飲みくらべ、である。

ワインが注がれたグラスを持ち、ちびちび飲んでは、

香り、味わい、それぞれのワインの特徴をつかんでいく。

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自分はどういうものが好みかは、なんとなくわかるし、

それぞれ、ちがうことは、なんとなくわかるが、

香り、味わい、において、

どのポイントが、どれだけちがうのか、を正確に言い当てるのは難しい。

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「うちの田崎真也なら、ブドウの種類、産地まで当てます」と若い先生は言う。

マジか。信じられない。

そういうことを聞くたびに、

世界ナンバーワンソムリエ、田崎真也への尊敬はますます高まる。

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若い先生が「うちの田崎真也が~」と敬称を略することで、

そこに深い敬意、尊敬がこめられているのをかんじるし、

「田崎真也」の名前が出るたびに、

私と同じテーブルについた、いかにもワイン好きな女子が

うなずきながら、うっとりと、話をきいているから、

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ソムリエ田崎真也って、すごい男なんじゃないか。

なんだかよくわかんないけど。

なぜか私まで、そう感じるようになってくるから、すごい。

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授業中に走り書きした私のメモを読み返してみると、

「ぬれた犬の毛のような香り」とある。

授業中、先生の言ったことのなかで、いちばん印象的だったことば。

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ブドウの品種、産地、そういうことも教えてもらったが、

ワインうんちく語ることには、私は興味はない。

目の前のワインが自分にとって、どのような存在なのか、を

自分なりに、ことばによって、つかむこと。

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神戸三ノ宮のイタリアンの小さな店、薄暗い店内で、

「ああ。ぬれた犬の毛のような香りがする、」と

さらっと言えたら、

波照間で出会った彼女を、

もうちょっとは、たのしませることができたかもしれないな。

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(のぶ)

2016年4月13日 (水)

ブライアン・ウィルソンのうたう『神さましか知らない』を聴き、神戸にメールを送る

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東京 有楽町(東京国際フォーラム)

ブライアン・ウィルソン「ペットサウンズ50周年ライブ」に行ってきました。

うつくしいものにふれて、はらはらと涙がながれる。

すばらしいライブ。すばらしい体験でした。

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いかなるときにも きみを愛するとは、

言い切れないかもね。

でも、見上げる空に星がある限り

ぼくの想いを疑う必要はないんだよ。

時が来れば、きみにもそれがわかるだろう。


きみのいない ぼくの人生がどんなものか、

それは神さましか知らない


もし きみがどこかに去っても

人生はつづくかもね。でもそれでは、

この世界がぼくに示せるものなど何ひとつない。

そんな人生に、なんの値打ちがあるだろう。


きみのいない ぼくの人生がどんなものか、

それは神さましか知らない



『God only knows』
(村上春樹の訳)

「God only knows] ビーチボーイズ youtube

https://www.youtube.com/watch?v=EkPy18xW1j8

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帰りの電車

波照間で出会った彼女にメールしよう。

ブライアンのうたう、『神さましか知らない』を聴いて、

そのうつくしさに、私がいかに泣いて泣いて泣いたか。

それを伝えたくって、この歌詞をおくる。

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メールありがとう

でも泣きすぎ

スマイルキャンディ忘れたね

でも今日はいいか

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神戸から、そんなメールが届く。

素敵じゃないか。

いい夜です。

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(のぶ)

2016年4月 9日 (土)

サッサン、関西へ行く 神戸 波照間で出会った彼女からプレゼントをもらう

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神戸、三ノ宮。

イタリアンの小さな店。夜遅く。

波照間で出会った彼女が、かばんから、

「はい、これ、あげる」

と小さいきれいな包みを、私に差し出す。

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「のらちゃんのことをおもいだして泣くのは、

もう、のらちゃんも望んでないとおもうよ、」

みたいなことを彼女は言って、

「あ、泣きそうだ、とおもったら、

すぐに、これを舐めるといい、」

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色とりどりのキャンディ。

「泣きそうになったら、すぐに舐める」

意味なんて超えた、否応のない処方箋、というか、

オートマティックなルーティン、というか、おまじない?

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とにかく。

彼女が示した「方向性」に、

私は、なにか、すっと、あたらしい段階に入ったような気がする。

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「妻が逝って、私は、空ばかり写している。

元気になんか、なりたくないね。」

写真家の荒木経惟(アラーキー)が愛妻に先立たれて、あと、

そんなことを言っていた、と新聞で読んだ。

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「元気になんか、なりたくないね。」

私も、たしかに、そういうところがあったかもしれない。

エディ兄に、「ノラが死んで、あいつ、あたまおかしくなった、」と言われても、

泣きたいときは、自然に泣くにまかせてきた。

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これからは、

ただ泣く、でもなく

泣くのをこらえる、でもなく

あ、泣きそうだ、とおもったら、キャンディを舐める。口の中は甘い。

なんだかよくわからないけど、

次の一歩、前へ進んでいこうとする、たしかな手応えはかんじる。

とにかく。そういう方向性が、うまれた。

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桜が咲いた。

ことしはいっぱい桜をみよう。そうおもった。

桜は満開。のらちゃんはいない。

なぜだろう。

私は泣かない。

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のらちゃんは遠くなったわけではない。

泣くという回路や方向性が、かわったのかもしれない。

よくわかんない。

とにかく、泣かなくなった。

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(のぶ)

2016年4月 8日 (金)

サッサン、関西へ行く 神戸 ハーブ園で夜の桜の香りを嗅ぐ

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神戸の山の上

「神戸布引ハーブ園」のなかで、

香水の対面販売を行っている

きちんとスーツ着た行商のおじさま紳士に声をかけられ

私たちは、つい、なんとなく、足を止めてしまう。

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「夜の桜の香り」という香水を、波照間で出会った彼女に勧めてくる。

「桜に、香りなんて、あったっけ?」と私は横から口を挟む。

「桜の花に香りはありません。だから、

この香水は、あくまでイメージなのです。」

と、きちんとスーツ着た行商おじさま紳士はまじめに言う。

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ん?、

行商おじさま紳士の言ったことが、私にはなんだかおもしろくって、

「じゃあ、なんでもいいんじゃん!」と明るい声で言った。

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なんでもいいわけはない。

「夜の桜の香り」という香水には、この世に正解がない。

作り手のイメージが、受け手にどこまで共感されるか、

これはある意味、ちょっとした、たたかいである。芸術である。

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彼女は、4種類の香水の匂いを嗅いでは、

「ふむふむ、なるほど、」みたいな、何か考えている様子。

ちょっとのぞいてみました、にしては、ちょっと長い。何か買う気になったのかな?

私はうしろで、彼女と行商おじさま紳士との会話をみている。

はっきりいって、すごく、すてきな眺めだ。

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「ありがとう、」と

行商おじさま紳士に向かってあっさり言い、

彼女は対面販売をあとにする。

え?

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歩きながら、

「すげえな~。買わないんだ。

てっきり、何か買うんかとおもってた、」と私がちょっと興奮して言うと、

「買わんよっ。」と彼女はかわいく言う。

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「夜の桜の香り」は、なんかよかったなあ。

「あれ、自分が勝手にかんじたイメージを売ってるわけだからなあ。

勝負してるよ。もはや詩だよなあ、」

とイタリアンの小さな店で、ワインをちびちび飲みながら

私は熱っぽく話している。

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ふと。気づくと、

彼女は私のことを、じっと見ている。びっくりする。

彼女は私の目をしっかりとみながら、やさしくほほえんで、私の話を聞いている。

きれいな女性だな。

どうしてそんなにもしっかりと、ひとの目をみれるんだろうな、とおもいながら、

私は「夜の桜の香り」のたのしさを、ばかみたいに話し続ける。

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屋台風の中華料理屋では、横並びに座っていたが、

イタリアンの小さな店では、私たちはテーブル席に向かい合わせになっているから、

彼女の視線が、すごくまぶしい。

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(のぶ)

2016年4月 7日 (木)

サッサン、関西へ行く 神戸 それはうたになる

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一歩、一歩

私たちはこの道を歩いていく

きみがこの先 生きられる日は限られているし、

この私だってそうだ

時間だけが積み重ねられていき

私たちはあれこれ苦しみながら 何とかやっていく

誰だってそう

どこへも逃げることはできない

誰もが動き続けている

たぶんみんな まだ目的地にたどり着いていないんだろうな

誰もが どこかへ移動しつづけていくなら

だから きみよ  私のそばにいてほしい

何があっても私から離れないでほしい

すぐにもいろんなことがおもしろくなるはずだよ

服が濡れて、肌にぴったりと張り付く

そんな窮屈さを 生きていて 感じ続けることはないんだ

運命は、もっと心地よい、しあわせな結末を待ち望んでいるんだとおもうよ

だから きみよ  私に手を差し伸べてほしい

そして 私とともに生きるって言ってほしい



うつろさは底なしで、土のようにひんやりとしている

いつだって そこへ戻ってくることはできるけど

何もかもすべてを もとどおりにすることはできない

私がおかした たったひとつの間違い

それは神戸に一日長く いすぎてしまったこと

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新曲、ついに完成!

いや~いい歌詞ですねえ。

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残念。ウソです。

ボブ・ディランの『ミシシッピー』(2001)という曲でした。

この曲、私は大好きなんですが、歌詞もすきなので、

自分の好きなように意訳してみました。

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ディランの歌詞に「神戸」は、もちろんありません。

Only one thing I did wrong

Stayed in Mississippi a day too long

ミシシッピーです!

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歌詞全体で世界観を伝える、というよりは、

ディラン特有の、

ズドン!と、一節が啓示のように突き刺さってくる、

そんな歌詞もいいものです。でも、

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ところどころ、私ならそうは書かないな~、という部分はある。

(たとえば、服が濡れて、の一節)

そういうことを思えるならば、

私にはまだまだやれることがあるはずだ。

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それにしても。こうしてみると、

まだまだ、うたをつくる可能性は、いっぱいあるね。

神戸の坂道とか、永平寺の回廊とか、

郊外サイタマからは遠い、関係ない、

まさかそんなところで、私がかんじたことが、

私のつくりたい歌詞として、しっくりくる、なんて。

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そこに愛がある限り、

私はどこまでもいけるのだとおもう。

がんばれ、サッサン!

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(のぶ)

2016年4月 6日 (水)

サッサン、関西へ行く 神戸の街を朝ランニングする

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サッサン。メリケンパーク 神戸港

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翌朝。

ホテルのチェックアウトの時間まで、

神戸の街をランニングすることにします。

も、

きのう、波照間で出会った彼女とふたりで歩いた道を、

ついつい、たどってしまう、ばかな私です。

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きのうと同じの、坂のまち、すてきな神戸。

けど。一人で走ってても、なんか、つまんない。

なんだか、うつろな。ロンサム神戸。

同じ道。こうも、ちがうか。

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神戸港が見渡せる丘、桜の木がならぶ坂道を

アジア系の若いカップルが、

タイヤがどうも言うことを聞かないキャリーケースを

オロオロと不器用に、ゴロゴロと引きずって、歩いている。

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なぜ、こんな丘の上まで、ばかみたいに持ってきたキャリーケース

このまま、山のてっぺんのハーブ園まで、ばかみたいに引きずっていくんだろうなあ…

本人たちも、困難な、ばかみたいな状況を、もはやたのしみはじめているみたいで

そうなったら、ふたりは、しあわせそのもの。

そういうのは伝わる。

そばにいた、彼女も私も、ほほえむ。

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神戸港、広がる海を見渡しながら、

「関空は、あのへん。

ずーっと先のあすこに、高いビルがみえるやろ。あのへん、」

彼女は指を指しておしえてくれるが、

私には、それが「どのへん」なんだか、どうもよくわからない。

彼女は何度も何度も、根気強く、おしえてくれるが、

関空がどこにあるのか、私はばかみたいに、さっぱりわからない。

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きょうは、きのうとちがって、海がかすんでいて、

大阪の方角は白くぼやけていて、よく見えない。

まだ桜は、咲きはじめたばかりで、

一分咲き、といったところ。

「まだ、咲かへんね、」と、きのう彼女は言っていた。

「まだだなあ。」と、きょう私は言う。

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すべてが、うつろ。

洋館の建ち並ぶ北野も、

南京町も、ポートタワーも、メリケンパークも。

そこにいた私たちが何をし、何を話していたか、

いちいちがよみがえり、

ここにはもうなにもない。

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南京町の豚まんを、エディ兄さんに、おみやげに買ってくか

彼女がいろいろ案内してくれた神戸のパン屋でバゲットを買おう

はやくホテルに帰って、チェックアウトの時間までに、シャワーを浴び、荷物をまとめないと

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急に「いそがしい、いそがしい、時間がない」言い出して、

ばかみたいに速すぎるペースで走る。

ばかみたいだ。ばかみたいだ。

聡明な彼女は歩きはしなかった、ただの大通り、

三ノ宮駅前の交差点からフラワーロード(長い坂道)を駆け上がっていく。

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(のぶ)

2016年4月 5日 (火)

サッサン、関西へ行く 神戸 中華料理屋からディアンジェロが流れる

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私たちは地下鉄をのりつぎ、海のほうへゆく。

神戸港に面したメリケンパークで、ポートタワーが赤くひかるのをみつめる。

「ポートタワー、好きやねん、」と彼女は言う。

「うん。たしかにこれは、なんか、いいな、」と私は言う。

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暮れゆく海を、ぼんやりながめる。

彼女は黙ったまま、ただ、海をみつめる。

私は彼女の後ろ姿をみつめる。

何か話さなくっちゃな、と、きょうはじめておもった。

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結婚式披露宴がちょうど終わったところみたいだ。

新郎新婦がたったふたりだけで会場外に出てきて、

出口で、出席者に渡すプレゼントの準備をしている。ふたりだけで。

ドレスとタキシード。会場の外に出た新郎新婦の格好は、ばかみたいで、しあわせそのもの。

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南京町の豚まん、1個だけ買って、

彼女が半分に割って、私たちはその場で食べる。

「マスタード、もうちょっといる?」と私は訊き、

「もういい、」と彼女は言う。

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屋台風の中華料理屋で晩ごはん。

横並びに座る私たちのすぐそばで、中国系の料理人がかまどでせわしく調理している。

水餃子や焼き餃子、青菜炒めや焼きそばを並べ、ビールを飲む。

「焼きそば、ちょっとしょっぱいね、」と私たちはひそひそ言い、ぜんぶ食べる。

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アグネスチャンの日本語のうたが、音楽として、なぜ良いのか

発音が自然じゃないことの魅力、正しくない日本語の魅力について、私は熱っぽく話す。

そういえば、周りは中国系のひとばっかりじゃん、と話途中で気づき、ちょっとひやひやする。

彼女は話を聞くとき、私の目をしっかりと見つめて、ほほえんでいる。

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きょう、私たちはどれだけ歩いたのだろう。

ケータイの万歩計をみると、20000歩越えてる。

15キロは歩いたことになっている。

「ええな。ケータイに万歩計ついてるんや、」と彼女は言う。

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私たちには、結局、目的地はとくになかったから、

歩くこと、移動すること、が目的だったのかもしれない。

坂の道、ロープウェイ、エレベーター、登山道、地下鉄、エスカレーター、デパ地下、地下鉄、中華街、港、

移動に次ぐ移動。今日一日、まるごと、たのしかったな。

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神戸の山の上のほう、高級住宅街を歩く。

「こんなところに住んでるなんて、まともなひとやないよね、」と言う

神戸育ちの彼女に、本場のやくざの話をしてもらいながら、

坂の道を歩く、たのしさ。

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店内のスピーカーから、とつぜん、

ディアンジェロの曲がながれる。ありえない。

「あ!これだよ、ディアンジェロ。

東京は完売で、大阪に観に行っちゃおうか、とおもったのが、今回のきっかけだったんだっけ、」と私は言う。

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なにがきっかけだったかなんて、もうどこかにいってしまった。

ディアンジェロ、ふつう、中華料理屋で聴こえてこないよね。

もう、み~んな、ゆめみたいだ。

大丈夫、サッサン。ぜんぶ、現実だよ。

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(のぶ)

2016年4月 4日 (月)

サッサン、関西へ行く 神戸 ロープウェイの管理事務所フロアに着く

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サッサン。ハーブ園から神戸港を見渡す

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あれ?柵が閉まってるよ、」

神戸の山の上にある「神戸布引ハーブ園」というところから、

帰りはロープウェイではなく、登山道を歩いて下ろう、ということにしていた

波照間で出会った彼女と私は、

登山道へとつづく柵が閉まっているので、スタッフに柵を開けてもらうことにした。

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私たちは、ひとけのない建物の中に入っていく。

殺風景な廊下を誰ともすれ違わず、

事務的なエレベーターに乗って、上へ移動する。

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ロープウェイの中間駅があるフロアに着く。

コンクリートと鉄の、暗くひんやりした空間で、機械の音がしている。

ひとりではたらくスタッフに、彼女が近づいていって

「門の柵が閉まっていて、登山道へと降りられないんです、」と訊くと、

「ああ、柵の鍵はかかっていません、手で押せば開きますよ」と言われる。

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「鍵は掛かってないんやって」

「なんだ、そうだったのか。あの柵、開いてたのか」と言いながら、

私たちはまた事務的なエレベーターに乗り、

地上1階で降りようとする

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と、

着いたのが、ロープウェイの管理事務所、部外者が立ち入れない殺風景なフロアで、

「あれ?なんだここ。外に出れないじゃん。

さっき、どっから来たんだっけ?」と私は言う。

「もうひとつ上やないの?」と彼女が言う。

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(のぶ)

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なにこれ?

サッサン、この話、何が言いたいの?

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いや、

私は、だいたい言いたいことは言ったよ、とおもう。

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私たちは、神戸の街をいっぱい歩き、いわゆる観光名所にもいっぱい行ったけれど、

なんというか、

ロープウェイの管理事務所のフロアに止まるエレベーター、

ひとけのない、殺風景な廊下、

間違えて、ヘンなところに私たちが来ちゃった、ってこと、

こういう場面に、私はなんか惹きつけられる。

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目的地なんてなく、移動する、そのなかにあるもの

あさの永平寺の回廊を歩きながら、私がふと感じたことが、

「事務的なエレベーター」で実感されていく。

私が、どんなにか、たのしいか、

どこまで伝えきれているだろうか。

私はうたをつくるべきだ。まったく。

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2016年4月 3日 (日)

サッサン、関西へ行く 神戸 ザ・リアルマッコイズの前を通り過ぎる

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ッサン。生田さん。(生田神社)

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波照間で出会った彼女と、神戸・三ノ宮で再会した私は、

彼女の歩くのにまかせて、高架下の商店街を歩いていく。

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「ザ・リアルマッコイズ」のまえを通り過ぎるとき、

90年代後半?グリマーズ連中(エディ兄とベース氏)の大好きだった話、

「ジョーマッコイの歴史」を彼女に話したい衝動に駆られるも

彼女は、すいすい歩いていく、私はあとをついていく。

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さて。

会ったはいいが、結局、ノープランで、

私たちは、これから、なにをするのだろう。

高架下商店街を抜け、なんとなく坂の上のほうへ歩いているうちに、

そこに生田神社がある。

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よくわかんないけど、とりあえず、お参りでもする?、

ということで、まず手水をすることにする。

以前、ふらり立ち寄った靖国神社でひとり、練習(?)してた

おれの「クール手水」(キムタクみたいにクールな所作でおこなう手水)を、

人前で披露するときが、ついにやってきた!

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も、やっぱり、うまくいかない。おろおろ。

てか、作法、すっかりわすれちゃった。

濡れた手に、波照間で出会った彼女が、

「はいどうぞ、」とハンドタオルを貸してくれる。

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ほんとうは、高校生のときから私はいつだってハンカチをもって歩く男であり、

このときも私のジーンズのポケットにはハンカチがたしかに入っているのだが、

なかったことにする。

「おっ、ありがとう。」と言って、彼女からハンドタオルを受け取る。

ハンカチを持ち歩く私は、そういうヘンな機転の利くおとこでもある。

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午後二時

赤いじゅうたんのうえを、

紋付袴・白無垢の新郎新婦が、しずしずとやってきて、

私たちの前を、ゆっくりと通り過ぎていく。

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三月の晴れた土曜日の午後。

神前式の、笙が生演奏されて、空気がぽわ~んとしていく

空は青く、

生田神社の柱は赤い。

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「あ、小銭がない、」

波照間で出会った彼女と私のぶん、

「まとめといて、」と

さい銭箱に、銀色の50円玉を投げ入れる。

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(のぶ)

2016年4月 2日 (土)

サッサン、関西へ行く 神戸 JR三ノ宮駅で待ち合わせをする

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サッサン、関西へ行く。

神戸にやってきました。

神戸では、南のはての波照間島で出会った彼女に会うことになっています。

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待ち合わせは、神戸の中心、三ノ宮駅になり、

彼女は、西口で待っている、というが、

JRの中央改札から出てきた私には、

あ、れ?

どうしても西口改札がみつからない。

JR大阪駅といい、なぜ、こうも、

あるはずの改札口が、すんなりみつからないのか関西。

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うろうろ歩くも、全然ない。案内表示もない。

ほんとに、西口という改札口はあるのか、な。

すると彼女から電話がかかってきて、

「JR三ノ宮駅の西口は、阪急の改札とともにある。」

彼女はなに言ってるのだろう?さっぱりわからない。

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ああ、そうか。私がうろうろ歩き回っていた、

JR三ノ宮駅 中央改札の市街地ブロックではなく、

横断歩道をわたって、

阪急電鉄の三宮駅がある市街地ブロックへ移動する必要があるらしい。

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まさか横断歩道を渡った対岸にみえる「阪急」の大看板、そのなかに、

JR線の西口改札が含まれている、なんて。

それはたぶん一生思いつかなかったな。地味に難易度が高い。

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わかった。

じゃあ、まず、この横断歩道をわたるんだね。

信号が青に変わるのを待っている。

土曜日の昼下がり、三ノ宮は、ひとでいっぱい。

黒革のライダースジャケットをきたおとこが私のそばにいる。

きょうは、そんなに寒くないよ、と私はおもう。

もうすぐ彼女に会えるのだな、もうすぐ。

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信号が青に変わり、ひとびとが歩き始める。

たくさんのひとの流れに合わせて、私もゆっくりと歩き始める。

阪急三宮駅のある向こう岸からも、横断歩道を、ひとがいっぱい歩いてくる。

南のはての波照間島で出会った彼女が

先に私に気づいたようで、手を振っている。

あ、彼女だ。

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(のぶ)

2016年4月 1日 (金)

サッサン、関西へ行く 大阪 アナタキコウと宴会する

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大阪駅でアナタキコウ松浦さんと待ち合わせた私は、

心斎橋へ、

「印象派」の103CA(トミカ)さんのやっているバンド

「ANAGUMA」のライブを観に連れて行ってもらいました。

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ライブ後、かわいらしいトミカさんに対し

「きみは才能をもてあましてる。」と、

大阪の地でも相変わらず、私はえらそうなことを口走って、

私はいったい、なにものなんでしょうか?

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今夜は、松浦さん宅に泊めてもらうことになりました。

駅からの道中で、たこ焼き・お好み焼きをいっぱい買い込み、

「サイタマ武州からグリマーズのぶがやってきた、」ということで、

アナタキコウのメンバーもあつまってくれて、

今夜は宴会です。

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も。ひとさまのライブを観てきた直後、ということもあり、

ちょっとまじめに、

音楽は、どうしたらいいんだろうね、

メロディや歌詞は、どうしたらいいんだろうね、

バンド活動は、どうしたらいいんだろうね、

いろいろ話し合いました。

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先日の青山ツキミルでのライブが、いかに良いライブだったか

私がアナタキコウというバンド、クリエイターの松浦さんに、

どういうことを期待しているか、熱っぽく語りまくり。

アナタキコウという音楽・バンドが好きな私は

そんなおしゃべりは、たのしいに決まってる。

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だいぶ夜も深くなったころ(午前1時過ぎ?)、

松浦さんに「バンドオブグリマーズの曲が聴きたい、」といわれ、

私もばかだから、

『武州オンザロード』『富士見フォーエバーヤング』を

アコギで真夜中にうたいます。

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とはいえ。

こんな夜中に、となり近所に大丈夫なのか?

ハラハラしながらうたっていたことはたしかで、

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むかしむかし

真夜中に、音がよく響く、半地下駐車場で、

中川君が『北の国から』トランペットの練習するというのに、

私は「さだまさし役」でうたとギターで付き合っていたら、

「うるせえ!ばかやろう!何時だとおもってんだ!」とすごい剣幕で怒鳴り込まれたことがあって、

しかし。中学卒業時、相撲部屋からのスカウトもあった中川君は、北足立郡最強のおとこだから、

逆に怒鳴り込んだおとこが逃げていった。

でもあれは、悪いことしたな。

私はいまだに申し訳なくおもっているのである。

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で。

声もギターも、どこまで出していいのか、はかりかねて、

ギターのチューニングもうまく決まらず、

なんか微妙なパフォーマンスになりました。

でも、いまもバンドオブグリマーズを聴きたいひとがいることは、

ほんとうにありがたいことです。

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てか。

先日のイバラキ旅行での、かまボイラー清水さん宅といい、

なんか最近、私は、ひとのうちで

バンドオブグリマーズの曲をよくうたってるな。偶然にも。

この偶然、なんなんだろう?ヘンな感じ。

これは、どこかへつながっているんだろうな。きっと。

そんな気もしてきます。

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(のぶ)

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